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Random Thoughts on BJJ, Pro Wrestling, MMA, etc.
Sunday, May 28, 2006
ホイス vs ヒューズ
念のため、ネタバレです。まあ日本でこの試合を放映する前に、こんな放りっぱなしのブログをチェックする人がいるとも思えないのだが。たった今録画を見終わった勢いでどわーっと書いてます。
ーー
明確すぎるほど明確な結果が、最大限に衝撃的かつ、あまりにも残酷な形で出てしまったこの試合。その衝撃に動揺していろいろ短絡的に結論したくなってしまうが(以下の1ー4)、がんばってごたごた考える。
(1)「今のホイスの技術(主に柔術)では、進化した現在の総合において、最強レヴェルの選手に勝つのは非常に厳しい」
・・・文句無し。このやられ方でなにをどう言い訳できるか。
(2)「グレイシー柔術に誇りを持ち過ぎのホイスは、現在までの総合の進化の大きさを把握できてなかった」
・・・これもその通りかな。試合前の控室の様子として流された映像では,ホイラーと差し合いをしてるホイスの姿。ヒューズとの試合前に、ホイラーとレスリングの練習って・・・。あと、試合序盤のあの軽いスナップ打撃。距離を取るためだけにやってたのかもしれないけど、なんか初期UFCで壮絶に討ち死にしていった伝統武道の選手たちの姿が頭に浮かんでしもた。実際今回は、13年前のUFCで彼らが演じさせられた役割(=「伝統に囚われるあまり、現実における自分の無力さを理解できてない人々」)をホイスがやってしまった。下のエントリで書いたのと同じ現象だね。
(3)「今回、寝技の攻防においてすらホイスをこてんぱんにしたヒューズは、グラップリングルールでもホイスをぐちゃぐちゃにするだろう」
・・・たいがいそーだと思うけど、100%断言しかねる部分も。だってこの試合で、グラウンドに行くと同時にヒューズがサイドを取ってた攻防は,ホイスが差し合いからヒジ(空砲)を放ったのが引き金でしょ。ヒュースはそれに合わせてうまくダックアンダーでバックに付き、前転するホイスの体を制したままサイドへ(これ自体は素晴らしいレスリング&グラップリング技術)。でヒューズは,そのままフィニッシュまで、一度もホイスにクローズドガード(フルガード)を許さなかった。試合前にホイスは「もしも私がミスを犯すなら、ヒューズにKOや1本で負けることもあるだろう」と言ってたけど、後知恵で考えれば,あのヒジこそ致命的な「ミス」だったかも。打撃アリルールならではの。
もちろん、ヒューズのグラップリングが、ものすごく高いレヴェルにあること自体は誰も疑えない。最初にサイドを取った後、両差しから右足でのニーオンでガード戻しを防ぎ、さらに左ヒザをワキにねじ込んでホイスの右手を封じたこと。なんとか体を返したホイスが、座り込みながらクローズドガードに戻そうとした時(柔術家のよく使うムーブ)、ホイスの足を閉じさせず片足を超えて、胸でも強烈な圧力をかけてハーフにしたこと。その後、すぐに腰を切って完璧な体勢をつくったこと。アームロックの体勢に持ち込み極めかけ、しかもまったくバランスを失うことがなかったこと。さらにワキを差し胸を合わせ、ヒザを抜いて完璧にパスしたこと。「純粋グラップリング」の技術で、ことごとくホイスの上を、そして先を行っていた。上半身とヒザの使い方が素晴らしすぎる。もちろん大きな体力差が背景にあったことも事実。
で同時に、進化した「打撃アリグラップリング」の完成度もヒューズは見せつけた。サイドから足でホイスの片手を固定しての打撃(十八番だよね)はいわずもがな。終盤に反転するホイスをネルソンで捕らえ、バックに付き、ホイスにワキを絞めることをまったく許さず(←これが凄いと思う。この試合、ヒューズは要所でことごとくホイスのワキを殺して攻防を制した)、打撃も交えてすぐさま両足フックを完成した流れは圧巻だった。
その上トドメに、柔術超基本の「相手の体を伸ばしきって全てを無力化」までホイスに決めちゃうし(いやまあこの動きは正直「体力で有無を言わさず」って面もでかいと思う)。このあまりにも象徴的なシーン、見るのが辛かった人は多いでしょ。ホイスなつかし語録を逆手にとって「ヒューズはホイスの100手先を読んでいた」と言われても仕方ない。グラウンドにおいて、ホイスは動きのほぼすべてをヒューズにあらかじめ封じられ、なにひとつやらせてもらえなかった。あのヒジ打ちが空振りした以降は、それこそ(かつてグレイシー柔術を形容するのに使われた)「詰め将棋」の如くホイスはやられた。ミスしてはいけないのが、相手がミスしたら絶対にそこを逃さず極めるのが、グレイシー(の理想)だったのに。
(4)「1Rで完璧に破壊された以上、ホイスはお得意の原VTルール(時間無制限、ラウンド無し、膠着ブレイク無し)でも、ヒューズに勝てるわけがない」
・・・これもまた(すこーしだけ)疑問をはさむ余地があるんじゃないかな? 時間無制限ルールにおいておそらくホイスの最大の武器である「クローズドガード」を、今回の試合でヒューズは一切やらせなかった。では、もしこれが時間無制限ルールでも同じような展開になったのか? ここに確信が持てないので。
だって(判定も膠着ブレイクの心配もない)時間無制限ルールなら、ホイスはヒューズと差し合ったりヒジを出したりせず、すぐ飛びついてガードを閉じたかもしれないじゃん。そうなったら所戦でも見せたように、四の字フックで固定して頭を抱えこみ、相手がトイレを我慢できなくなるまで、半永久的にコツコツ掌底とカカト打撃を続けるかもしれんし。ヒューズ自身も、勝利者インタビューで「自分がラッキーだったことのひとつは、ホイスが5分3ラウンド制で戦ったことがなかったことだね」と言ってたし(もっともこれは、「ホイスは時間無制限に慣れたスロースターターなので、自分は有利だった」という意味なんだけど)。
ただま、今日の試合を観た限り、ホイスが引き込みを試みたところで、ヒューズは(ヒザ入れるなりして)足を閉じさせず、すぐハーフに持ち込む可能性も高そうだし、一度でもホイスのガードが開いて,ヒューズがいい体勢を取ったらもう一方的になるだろう、と考えるのはじゅうぶん妥当と思える。だからやっぱ初期VTルールでやったとこで、ヒューズがぼこぼこに勝つ可能性が大きいのは否めない。
ーー
以上、なんだかんだ好き勝手書いたけど、試合後声を震わせながらも、背筋を伸ばして、あの大きく強い目を開いてインタビューを受けきったホイスの姿ほどかっこいいものはなかった。
ーー
明確すぎるほど明確な結果が、最大限に衝撃的かつ、あまりにも残酷な形で出てしまったこの試合。その衝撃に動揺していろいろ短絡的に結論したくなってしまうが(以下の1ー4)、がんばってごたごた考える。
(1)「今のホイスの技術(主に柔術)では、進化した現在の総合において、最強レヴェルの選手に勝つのは非常に厳しい」
・・・文句無し。このやられ方でなにをどう言い訳できるか。
(2)「グレイシー柔術に誇りを持ち過ぎのホイスは、現在までの総合の進化の大きさを把握できてなかった」
・・・これもその通りかな。試合前の控室の様子として流された映像では,ホイラーと差し合いをしてるホイスの姿。ヒューズとの試合前に、ホイラーとレスリングの練習って・・・。あと、試合序盤のあの軽いスナップ打撃。距離を取るためだけにやってたのかもしれないけど、なんか初期UFCで壮絶に討ち死にしていった伝統武道の選手たちの姿が頭に浮かんでしもた。実際今回は、13年前のUFCで彼らが演じさせられた役割(=「伝統に囚われるあまり、現実における自分の無力さを理解できてない人々」)をホイスがやってしまった。下のエントリで書いたのと同じ現象だね。
(3)「今回、寝技の攻防においてすらホイスをこてんぱんにしたヒューズは、グラップリングルールでもホイスをぐちゃぐちゃにするだろう」
・・・たいがいそーだと思うけど、100%断言しかねる部分も。だってこの試合で、グラウンドに行くと同時にヒューズがサイドを取ってた攻防は,ホイスが差し合いからヒジ(空砲)を放ったのが引き金でしょ。ヒュースはそれに合わせてうまくダックアンダーでバックに付き、前転するホイスの体を制したままサイドへ(これ自体は素晴らしいレスリング&グラップリング技術)。でヒューズは,そのままフィニッシュまで、一度もホイスにクローズドガード(フルガード)を許さなかった。試合前にホイスは「もしも私がミスを犯すなら、ヒューズにKOや1本で負けることもあるだろう」と言ってたけど、後知恵で考えれば,あのヒジこそ致命的な「ミス」だったかも。打撃アリルールならではの。
もちろん、ヒューズのグラップリングが、ものすごく高いレヴェルにあること自体は誰も疑えない。最初にサイドを取った後、両差しから右足でのニーオンでガード戻しを防ぎ、さらに左ヒザをワキにねじ込んでホイスの右手を封じたこと。なんとか体を返したホイスが、座り込みながらクローズドガードに戻そうとした時(柔術家のよく使うムーブ)、ホイスの足を閉じさせず片足を超えて、胸でも強烈な圧力をかけてハーフにしたこと。その後、すぐに腰を切って完璧な体勢をつくったこと。アームロックの体勢に持ち込み極めかけ、しかもまったくバランスを失うことがなかったこと。さらにワキを差し胸を合わせ、ヒザを抜いて完璧にパスしたこと。「純粋グラップリング」の技術で、ことごとくホイスの上を、そして先を行っていた。上半身とヒザの使い方が素晴らしすぎる。もちろん大きな体力差が背景にあったことも事実。
で同時に、進化した「打撃アリグラップリング」の完成度もヒューズは見せつけた。サイドから足でホイスの片手を固定しての打撃(十八番だよね)はいわずもがな。終盤に反転するホイスをネルソンで捕らえ、バックに付き、ホイスにワキを絞めることをまったく許さず(←これが凄いと思う。この試合、ヒューズは要所でことごとくホイスのワキを殺して攻防を制した)、打撃も交えてすぐさま両足フックを完成した流れは圧巻だった。
その上トドメに、柔術超基本の「相手の体を伸ばしきって全てを無力化」までホイスに決めちゃうし(いやまあこの動きは正直「体力で有無を言わさず」って面もでかいと思う)。このあまりにも象徴的なシーン、見るのが辛かった人は多いでしょ。ホイスなつかし語録を逆手にとって「ヒューズはホイスの100手先を読んでいた」と言われても仕方ない。グラウンドにおいて、ホイスは動きのほぼすべてをヒューズにあらかじめ封じられ、なにひとつやらせてもらえなかった。あのヒジ打ちが空振りした以降は、それこそ(かつてグレイシー柔術を形容するのに使われた)「詰め将棋」の如くホイスはやられた。ミスしてはいけないのが、相手がミスしたら絶対にそこを逃さず極めるのが、グレイシー(の理想)だったのに。
(4)「1Rで完璧に破壊された以上、ホイスはお得意の原VTルール(時間無制限、ラウンド無し、膠着ブレイク無し)でも、ヒューズに勝てるわけがない」
・・・これもまた(すこーしだけ)疑問をはさむ余地があるんじゃないかな? 時間無制限ルールにおいておそらくホイスの最大の武器である「クローズドガード」を、今回の試合でヒューズは一切やらせなかった。では、もしこれが時間無制限ルールでも同じような展開になったのか? ここに確信が持てないので。
だって(判定も膠着ブレイクの心配もない)時間無制限ルールなら、ホイスはヒューズと差し合ったりヒジを出したりせず、すぐ飛びついてガードを閉じたかもしれないじゃん。そうなったら所戦でも見せたように、四の字フックで固定して頭を抱えこみ、相手がトイレを我慢できなくなるまで、半永久的にコツコツ掌底とカカト打撃を続けるかもしれんし。ヒューズ自身も、勝利者インタビューで「自分がラッキーだったことのひとつは、ホイスが5分3ラウンド制で戦ったことがなかったことだね」と言ってたし(もっともこれは、「ホイスは時間無制限に慣れたスロースターターなので、自分は有利だった」という意味なんだけど)。
ただま、今日の試合を観た限り、ホイスが引き込みを試みたところで、ヒューズは(ヒザ入れるなりして)足を閉じさせず、すぐハーフに持ち込む可能性も高そうだし、一度でもホイスのガードが開いて,ヒューズがいい体勢を取ったらもう一方的になるだろう、と考えるのはじゅうぶん妥当と思える。だからやっぱ初期VTルールでやったとこで、ヒューズがぼこぼこに勝つ可能性が大きいのは否めない。
ーー
以上、なんだかんだ好き勝手書いたけど、試合後声を震わせながらも、背筋を伸ばして、あの大きく強い目を開いてインタビューを受けきったホイスの姿ほどかっこいいものはなかった。