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Random Thoughts on BJJ, Pro Wrestling, MMA, etc.

Wednesday, February 14, 2007

こういう手もあるのか(MMAにおける採点基準) 

今ネット読んでてはじめて知ったこと。絶対的に時間がないんだけど、個人的にかなり目からウロコだったんで、今から大急ぎで書き飛ばす。

こないだのエリートXCにおけるフランク・シャムロックvsヘンゾ・グレイシー(フランクが2Rにグラウンドで下から後頭部膝二連打で反則負け)。その結果も問題になったけど、のちに1Rの採点が公開されて、二人のジャッジがそれを(ラウンドの大半を寝技でヘンゾに抑え込まれていた)フランクに10-9で与えたことがやはり議論の的になっている。

正直俺も、このラウンドは圧倒的にヘンゾだと思っていたのでびっくり。そりゃまあ「打撃によるダメージ」だけを考えればフランクなのかもしれないけど、ヘンゾの思うままにテイクダウンされてパスされてたじゃん・・・(まあ俺は思いきり柔術バイアスがかかってるし)。フランクに与えた二人は地元のボクシング畑のジャッジらしい。ジャッジを任命しているのはおそらくこの大会を認可したミシシッピー州のコミッション。UFCでもこういう「ボクシングジャッジによる 妙な採点」の問題は(最近まで)よくあった。

で、その議論の中で、ニュージャージー州コミッションが提案するMMAルールが紹介されていた。あるべきMMAの採点基準を(他の州のルールと比べて)一番詳しく明記しているモノだ、ってことで。

(* 後から付け加え1:自分はまったく無知で知らなかったけど、これが2000年に米で最初に公的機関によって作られたMMAルールの決定稿みたいなもんらしい。他の州のコミッションもMMAを認可する時はたいがいこのルールに準じているようだし、その後MMAを認可したネヴァダにしても、基本的にはこのルールを踏襲していて、さらに改良が加えられているよう。ただしネヴァダがウェブ上で発表してるルールには、このエントリで以下に説明するような採点基準に関しての記述はない。)

いやこれ、確かに興味深い("Judging"の項)。まず何を重視して採点していくかが書かれている。「有効な打撃」「有効なグラップリング」「ペース支配」「アグレッシブさ」「ディフェンス能力」と。まあボクシングの基準に似ているよね。

が、このルール、ボクシングの採点基準とはっきり違うことがある。

ボクシングでは、どの基準を優先するか、その優先順位があらかじめ決まっている。「有効なクリーンヒット」をまず最優先に判断。そこで差がつかない場合に は、「アグレッシブさ」で考える。それも互角なら次は・・・てな感じ。(リングスやってた頃にWOWOWで見てた)ジョー小泉さんの解説に慣れた自分は、こういう「優先順位固定制」が当たり前だと思ってた。修斗やPRIDEも、どの項目を優先するかはともかく、順位自体は固定じゃなかったっけ?

しかし、このニュージャージー州提案のMMAルールでは、各基準の優先順位が固定されていない。そうでなく「スライド(=展開に応じて変化)制を採用する」と明記されている。

で、それがどういうことか、の説明も。つまり、

・ラウンドの大半がグラウンドで費やされた場合は「有効なグラップリング」を最優先して採点を行なう
・ラウンドの大半がスタンドで費やされた場合は「有効な打撃」を最優先して採点を行なう

(「有効な打撃」は、重い打撃をヒットさせた数によって判断、「有効なグラップリング」は、テイクダウンやリバーサルの数、そしてパスガード、マウント奪取、相手をピンチに陥れるようなガードからの攻撃などから判断するとのこと)(#)

なんだそうだ。(ちなみに、スタンドとグラウンドの攻防の割合が同じくらいだった場合は、グラップリングと打撃を同等に判断するそう) へー、こういう手もあるのか。最初から「ダメージ優先」「ポジショニング優先」「積極性優先」等と決めちゃうんじゃなくて、試合展開に応じてそれを変える、と。そうすることで、誰が自分の思い通りに試合を展開させていたか、が採点に反映される(いや少なくともグラップラー的な視点からは)。この方法を使うなら、ヘンゾvsフランク1Rは、明らかにヘンゾが自分の思い通りに寝技に持ち込んで試合を展開させていたわけで、「有効なグラップリング」が優先で採点されるから、ヘンゾの勝ちとなる(でもこれを「ダメージ優先」or「クリーンヒット優先」というあらかじめ固定された判断基準で採点するとフランクにいってしまう)。こういう方法、俺まったく知らなかったし考えつかなかっただよ。

まあ細かい問題はいろいろあるかと思うけど(##)、個人的にはMMAの採点基準をしっかり立てようとするなら、「優先順位固定制」よりは、この「スライド制」のほうがいい気がする。つうか俺、この方法の存在をさっき知ったばかり(だいぶ昔から提案されているのは分かったが、どっかの現場で採用されてるのかどーかすら知らない・笑)なので、まだほとんどなにも考えてないんだけど。

(*後から付け加え2:その後ちょいとチェックしたら、エリートXCのプロモーターのゲイリー・ショーはもともとニュージャージーのコミッションの人だった。 だから今回の試合も、基本はこのニュージャージールールが採用されているんだろう。でも採点基準に関しては、この5年くらい前に書かれたモノは採用してないみたい。テレビの画面で「打撃、グラップリング、積極性、ケージコントロール(ペース支配?)をそれぞれ『平等に』考慮して採点する」と説明されてた。てことはやっぱりこの「スライド制」はその後の議論で使えないと判断された=俺のこのエントリ全体が一人で無意味に踊ってるだけ、ってことか?・泣笑)

でもきっと、どうせやるならこの「スライド制」的な発想(=「グラウンドの攻防の評価の仕方」と「スタンドの攻防の評価の仕方」で、それぞれ別のガイドラインを用意しようという発想)を元に評価基準を練っていった方が、よりMMA本来の形である(と多くの人から思われている)「1vs1、素手vs素手のノールールの闘い」(という幻想)に沿った採点が実現できるんじゃないかな? ヘンゾフランク戦だって、もしノールールだったら(という想定はもちろん厳密には不可能だけど)抑え込んでたヘンゾの勝ちでしょ。最後ヘンゾはフランクの下から反則ヒザで戦闘不能になってしまったけど、ノールールならヘンゾこそ上からヒザ打ち放題だったわけだし、ヒザでなくてもチチーニー師(←またかよ!)が説くよーに、目をくりぬいたり耳をちぎり取ったり口を引き裂いたりすればいいわけだし・・・。

(#)このルールには、「ペース支配」「アグレッシブさ」等の他の基準に関する説明もついている。

(##)例えばこのニュージャージー基準を厳密に当てはめると、ラウンドの大半がグラウンドで行なわれた場合、「インサイドガード(つまり上)からパウンドで相手をボコボコにして大ダメージを与えた選手」よりも、「ボコボコにされて大ダメージを受けながらも、下から何度か十字を狙った(でも防がれて相手にまったくダメージを与えられなかった)選手」の方がラウンド勝者とみなされかねない。テイクダウン→膠着を繰り返す選手も勝者になりかねなくて、それじゃ見せ物としても厳しい。採点基準のさらなる精密化は必要か。もっともこれを突き詰めて行こうとすると、たぶんどこまでやってもキリがない底なし沼に陥る(###)

(###)その問題を回避する手として、スマックガールのように「詳しい採点(判定)基準はジャッジ個人の裁量に委ねる」というのもある。が、公的に認められたスポーツとして細かいMMAルールをつくらなければいけない流れになってる米国では、これはたぶん難しい。ある程度精密な(見かけを持った)基準を用意する必要がある(####)

(####)と思ったのだが、「後から付け加え2」でも書いたように、テレビ画面で説明されている限り、今回のエリートXCの採点基準は
「打撃、グラップリング、積極性、ケージコントロール(ペース支配?)をそれぞれ『平等に』考慮して判定する」という、ジャッジ個人が好みで優先項目を決められるよーなモノになっている。なんだ大ざっぱじゃん。ネヴァダのルールにも採点における各項目の優先順位は書いてないし、現状では米でも、MMAみたいに複雑な競技の場合、採点基準の精密化(&明確化)は特に必要ナシと判断されてるのかな?

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